スラップ損傷(SLAP損傷)といわれる投球スポーツによる肩の痛み
野球やバドミントン、バレー、テニスといった頭より上で手や腕を使うスポーツをオーバヘッドスポーツといいます。
そのような野球の投球やバレーのスパイクなど頭より上で手や腕を使う際に肩を痛めてしまう肩のスポーツ障害にスラップ損傷と呼ばれるものがあります。
なにやら難しそうな名前ですが肩のスポーツ障害の中では比較的起こりやすいものでもあります。
そして、中には手術が必要と言われてしまったり、肩の痛みがいつまでたっても取れない選手もいます。
今回はスラップ損傷とは一体どのようなものなのかを考えてみたいと思います。
スラップ損傷、肩の関節唇(かんせつしん)とは
スラップ損傷といわれる肩の障害は、肩の関節唇(かんせつしん)と呼ばれる組織の損傷になります。
まずは肩の関節唇(かんせつしん)の説明について。
肩の関節唇(かんせつしん)は軟骨の組織で、下のイラストのエメラルドグリーンの色の部分で肩関節の受け皿側の骨のまわりをおおうようについてます。
名前の通りにくちびるのようにみえます。
この関節唇(かんせつしん)は肩の動きを安定させたり、衝撃をやわらげるクッションの役割をしてくれたりしています。
肩の関節唇(かんせつしん)はどのような時に痛めるのか?
転倒して手をついたり、こけそうになった時に片手で頭上のバーをもったり、肩に急に強い外力がかかることでもこの関節唇(かんせつしん)を痛めることがあります。
スポーツでは野球のスライディングで手をついたとき、体操選手は上半身に体重をかけることも多く、吊り輪や鉄棒、逆立ち動作で肩に体重を乗せた時にも関節唇(かんせつしん)を痛めることがあります。
その中でも今回は野球の投球やバレーのスパイクやアタックなどスポーツ選手の投球動作によって起こる関節唇(かんせつしん)損傷について記載したいと思います。
野球、やバレーといった頭より上で腕を振る動作で起こるスラップ損傷(関節唇(かんせつしん)損傷)には肩を痛めるメカニズムや関節唇(かんせつしん)を傷つける場所にも特徴もあります。
スラップ損傷(SLAP損傷)の名前について
スラップ損傷は肩の関節唇(かんせつしん)を痛めてしまうことです。
スラップ損傷(SLAP損傷)となかなか覚えにくそうな名前ですが、スラップの名前はSLAPのそれぞれの頭文字をとっています。
S (superior)上
L (labrum)関節唇(かんせつしん)
A (anterior)前
P (posterior)後ろ
スラップ損傷は「肩の関節唇(かんせつしん)の上の部分の前から後ろにかけて損傷しますよ」
ということになります。
投球動作でなぜスラップ損傷になってしまうのか?
うでの力こぶの筋肉が腱(けん)となり、そして肩の関節内の関節唇(かんせつしん)にひっついています。
下の図に投球動作を載せています。
下の図にあるように投球動作のコッキング期に肩にねじれとひっぱられる負荷がかかります。
バレーのスパイクや野球の投球動作のコッキング期に
力こぶの腱が関節唇(かんせつしん)にひっついていることで
投球動作時にその関節唇(かんせつしん)をひっぱることで引き裂くような損傷を作ってしまいます。
スラップ損傷を肩の解剖で説明
下の左側のイラストの中側を(正面から)見たものが右側のイラストです。
エメラルドグリーン色が関節唇(かんせつしん)です。
くちびるのようにみえる関節唇(かんせつしん)です。
右側のイラストは
青色の部分が力こぶ筋肉が腱(けん)となって肩の関節内に接続されてる様子です。
スラップ損傷は投球動作やアタック動作によって
青色の力こぶの腱(けん)に強く引っ張られることで、エメラルドグリーン色の上の部分がはがれてしまうような損傷になります。
スラップ損傷の症状は?
野球であればボールを投げた時に肩が痛かったり、肩が痛くて投げれなくなります。
投球の際の引っ掛かり感、肩が抜けたように感じる選手もいます。
日常動作は痛みがあったり、なかったりと様々です。
スラップ損傷の病院等の治療とできる限り手術を避けたい理由
スラップ損傷になった傷の大きさにもよりますが、スラップ損傷は基本的にはリハビリで治療していきます。
リハビリをしても痛みが取れないときは手術といった選択になってきます。
手術をすると復帰までは半年近くかかります。
例えば
リハビリを3ヶ月取り組みそれでも改善せず、そこから手術で半年となるとケガから復帰までかなり時間がかかります。
高校生や学生スポーツを含めてスポーツ選手はあまりゆっくりしている時間もありません。
中にはリハビリをして、無理であれば手術という順番なら、リハビリで様子をみるよりも早いうちに手術と考える選手もいるかもしれません。
ただ、手術をして全員が復帰できるわけではなくスポーツ復帰できないこともあったり、
手術によって復帰できた場合も以前と同じレベルでプレーすることが難しいともされています。
まずはリハビリで復帰を目指していくことがこちらの治療になってきます。
スラップ損傷を出来る限り減らすには?
スラップ損傷の中には肩の腱板(けんばん)という肩に重要な働きをする腱(けん)を同時に痛めていることも多いという報告もあり、肩に負担がかかりすぎていることの結果でもあります。
スラップ損傷になってしまう肩にかかる負担として投球フォームの問題が一つ。
肩や身体の機能低下、コンディション不良を起こした状態で投球やトレーニングをすることも問題です。
トレーニング量が身体に合わないときは身体のコンディションを崩して肩を痛めてしまうこともあります。
また、投げすぎには注意が必要です。
繰り返し肩に痛みが出る選手は肩の状態や身体の状態、フォームをチェックしていくことも必要です。
※腱板(けんばん):肩を動かすときに肩を安定させたり、スポーツの投球の際にも肩を安定するために必要な肩の組織です。
滋賀県にある当院のスラップ損傷に対する考え方と整体
スラップ損傷のようにたとえ肩の関節に何かあっても、
肩がしっかりと動く、肩がしっかりと支持される、肩が身体とのつながりの中でスムーズに動くということにアプローチしていくことで対応できることがかなり多くあります。
また、スラップ損傷や肩を痛めた選手の多くは肩の機能低下や身体の機能低下を起こしています。
肩の機能回復と同時に身体の機能回復にアプローチしていくことでそのスポーツに対応できる状態へとアプローチしていきます。
当院の整体では神経にアプローチして、筋肉の状態を改善していきます。
身体が間違った使い方になっているから身体が痛んできます。
スラップ損傷で困っている、スポーツで肩が痛くてなかなか治らないとお困りの方がおられましたらご相談ください。
また、スラップ損傷で手術をしても肩の痛みが取れない、スポーツの前のレベルに戻れなくなったという方も1度ご相談ください。
当院の肩のスポーツ障害の治療に関してはこちらからどうぞ
肩のスポーツ障害