幻肢痛(げんしつう)、神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)と鏡療法
事故や病気によって手や足を失うことがあります。
実際は手や足がないのですが、ないはずの手や足が痛む、指先が痛むということがありこれを幻肢痛(げんしつう)といいます。
また、手や足があっても脊髄(せきずい)損傷や神経損傷によって、運動まひが起こったり、感覚が遮断(しゃだん)されることでもこれと同じ現象が起こることがあり、こちらは手や足があるのに起こることから余剰(よじょう)幻肢といわれます。
幻肢痛(げんしつう)の痛みはナイフで刺されるような痛み、ないはずの手や足がねじれるような痛みといわれます。
この幻肢痛(げんしつう)は改善が難しいとされていて、まだまだ治療法が確立されていません。
そして、この幻肢痛(げんしつう)に対して鏡療法というアプローチにより痛みがやわらいだという報告があります。
その他、改善が難しいのとされる神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)に対しても有効であるという報告もあります。
また、鏡療法は、現在脳卒中の片マヒの患者さんのリハビリに使われたりもしています。
簡単に説明を載せておきます
※神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)
神経の損傷や障害によって起こる痛みのこと。
軽く触れただけでも強い痛みを感じたり焼けつくような痛みが起こることもあります。
骨折やちょっとしたけがの後に起こることもあったり、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)や脳卒中(のうそっちゅう)や脊髄損傷(せきずいそんしょう)による痛みの場合もあり薬も効きにくくなかなか改善しない痛みとされています。
※脳卒中(のうそっちゅう)
脳の血管が出血したり、詰まったりすることで起こります。早期に治療を開始することで後遺症が軽減されることがある緊急の疾患。
後遺症も様々ありますがマヒが起こった際右脳は左半身に、左脳は右半身まひと損傷した脳と逆側のマヒが起こったり、脳が障害される場所によって言語障害やその他さまざまな障害がおこることがあります。
※片マヒ
手や足の左右どちらかだけがマヒした状態
鏡療法のやり方と効果
鏡療法のやり方をご紹介します。
鏡に対して正面でなく、鏡に対して横になります。
今回は鏡に対して左肩が遠い方になるように横に向いてください。
その時にできるだけ右手が鏡に映らないようにしてください。
これで準備完了です。
この状態で左手を上、下、ななめと自由に動かしてみます。グーパーと指を好きに動かしてもらっても大丈夫です。
そうすると鏡に映る左手があたかも自分の右手が動いているような錯覚におちいります。
やることはこれだけです。
もし、錯覚におちいらない方も自分の右手が動いていると思い込みながら鏡を見ながら左手を動かしてください。(逆の手、足も鏡に映るなら足もやってみてください)
(違うやり方)
上のやり方と同じように左手を上とか下とかななめとか自由に動かしてみます。
同時に鏡に映らない右手は、鏡に映らない場所で、
鏡に映っている右手と逆の動きや違う動きをしてください。
(例えば)
左手を上に動かすと鏡には右手が上に動いているように見えます。
同時に実際の右手は鏡に映らない場所で下に動かす。
こうすると鏡に映る手の動きと実際の動かしている手の動きが違うことになります。
脳には見えている動きと実際動いている動きの相違が起こるといわれています。
1日一回、10分程度といわれていますが、続かない方は数分間でもいいと思います。
効果としてはすぐに自覚してもらえず、早くても2,3週間からという報告です。
神経痛、首や肩の痛み、腰痛にこんなことでと思いがちですが
今回は改善が難しいとされる幻肢痛(げんしつう)や神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)に対しての報告ですが、痛みが取れないような神経痛や首や肩の痛み、腰痛に対しても有効ではないかとも思います。
痛みがある方は痛みのあるその動きが当たり前になっています。
脳でもその動き、その痛みが当たり前となっています。
そのような状態から抜け出すために簡単にいうといい意味で脳を混乱させる。
この程度で良くなるものかと思いがちですが、意外にこういったことを繰り返すことで痛みが変化することもあります。
※実際に神経痛、首や肩の痛み、腰痛に対しての鏡療法の効果の報告はないので、効果があるとはっきりは言えませんが、痛みでお困りの方は痛みがやわらぐ可能性もありますので試してもらってもいいのではないかとも思います。
滋賀県守山市にある当院の整体
今回、鏡療法を紹介しましたが、当院では鏡療法ではアプローチしません。悪くなってしまっている身体の状態を改善していく必要があると考え整体によってアプローチします。
当院の整体は神経にアプローチしていくことで身体の機能を改善していきます。
身体を動かすことは神経で行っています。何らかの理由でその神経の働きが弱くなり、そこに伝わる筋肉が正常に働かなくなり結果、身体の痛みや不調をきたします。
その神経を活性化すること、それにより筋肉がしっかりと機能する状態を作っていきます。
神経が筋肉にしっかりと伝わり、筋肉がしっかりと働く。
そうすることで身体の機能の正常化にアプローチしていきます。
身体の痛みや不調で病院や整体、整骨院に行っても改善しないとお困りの方はご相談ください。
参考文献
痛みと臨床vol.7 2007